平成26年度 採択情報【1】

株式会社脳機能研究所と、国立大学法人筑波大学臨床医学域精神神経科グループ、および株式会社ルネサンスの三者による共同研究である「脳活動画像化装置による認知症予防プログラムの社会実装」が、平成26年度独立法人科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)(RISTEX)研究開発成果実装支援プログラムに採択されました。

RISTEX-rogo採択プログラムのRISTEXによる紹介ページはこちら。

 

 

                                                                           ◆本プロジェクトの活動とNAT解析についてのご紹介◆

                                                                                

 

 

目標

JST支援の下で、脳機能研究所が開発してきた独自技術の脳活動画像表示システムNAT(Neuronal Activity Topography)を、 軽度認知障害(MCI)患者の認知症疾患の度合いを定量的に評価する、簡便かつ有効な手法として社会実装し、認知症予防の取り組みを支援します。

 

平成26年度実装活動

平成26年10月~平成27年3月、筑波大学附属病院精神神経科デイケアの認知力アップデイケア参加者に、認知症予防プログラムの一つであるシナプソロジー®を一定期間取り組んで頂きました。
その間、参加者の脳波を測定し、NAT解析により認知症の状態の変化を「見える化」する取り組みを実施しました。

 

シナプソロジー®とは

全国でスポーツクラブや介護施設を運営する株式会社ルネサンスが開発した脳活性化プログラムです。  じゃんけん、ボール回しといった基本的な動作に対して、感覚器を通じて入る刺激や、認知機能(記憶・学習、注意・集中、思考(問題解決)、視空間認知、言語など)に対する刺激を変化させ続け(スパイスアップと言い ます)、それに反応する事で脳を活性化させていきます。
知的課題と身体の動きを合わせたデュアルタスクの要素を包含しています。
詳しくはシナプソロジー普及会ホームページをご覧ください。

 

 

平成27年度実装活動

H27年度は大きく分けて(1)国内での活動と(2)海外研究者との国際共同研究の2項目を実施しました。

(1)国内での活動
 
[a] 国内医療現場での試行
モデルケースとして、連携医療機関デイケアにおいて、MCI~認知症患者向け認知症予防プログラム参加者を対象に、4か月の間隔を挟んで2回脳波測定を実施し、NATを実際に活用してみていただく取り組みを実施しました。(H27年8月~H28年3月)。

HP用

 

 

[b] 企業展示デモ
第5回日本認知症予防学会学術集会(9/25-27;神戸国際会議場)の企業展示ブースにて、NAT解析の展示  デモを行いました。

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[c] 学術発表

☆第5回日本認知症予防学会学術集会(9/25-27;神戸国際会議場)にて発表、「浦上賞」をいただきまし
 た。

    「軽度認知障害患者のNAT 解析とタウ蛋白およびアミロイドβとの関係の検討」
                             (口演:田中美枝子〔脳機能研究所〕)                                  
     ※ プログラム詳細はこちら第5回日本認知症予防学会学術集をご覧ください。                                     ※ 受賞者はこちら日本認知症予防学をご覧ください。            

   
☆第34回日本認知症学会学術集会(10/2-4;リンクステーションホール青森)にて発表いたしました。                                                   
    「NAT 解析を用いた認知症予防プログラムの取組み」(ポスター発表:田中美枝子〔脳機能研究所〕)                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                     
     ※ プログラム詳細はこちら第34回日本認知症学会学術集会をご覧ください。 

 

☆第45回日本臨床神経生理学会学術大会(11/5-7;大阪国際会議場)
     シンポジウムセッション「脳活動イメージング法NAT(Neuronal Activity Topography)                                            ―NAT技術と認知症評価への応用―」 にて、脳機能研究所の共同研究者の先生方のご発表も含め、
  4演題発表が行われました。                                        

  S16-1 「脳活動画像化装置NATについて」(口演:小林洋平〔脳機能研究所〕)

  S16-2 「脳活動イメージング法(Neuronal Activity Topography) による血管性認知障害の評価」 
             (口演:柴田孝〔富山県済生会富山病院 脳卒中センター 脳神経外科〕)                                                                                   

  S16-3 「軽度認知障害患者のNAT 解析とリン酸化タウ蛋白およびアミロイドβとの関係の検討」  
                    (口演:浦上克哉〔鳥取大学医学部 保健学科生体制御学〕)

  S16-4 「脳波NPV 解析を用いた特発性正常圧水頭症における非侵襲的髄液シャント手術の効果予測」  
                      (口演:青木保典〔済生会日生病院 神経科精神科〕)  

      
      ※ プログラム詳細はこちら第45回日本臨床神経生理学会学術大会をご覧ください。

 

 

(2)国際共同研究

認知症問題は日本だけではなく、世界共通の問題です。
従って、海外と情報交換・および共同研究を進めることはメリットが大きいと考えます。
そこで、脳機能研究所とゆかりの深い、認知症研究分野の第一線で活躍している海外研究者のW. R. Shankle  医師およびJunko Hara氏を招聘し、平成27年8月25日に公開シンポジウムを開催いたしました。

「NAT解析システム海外展開プロジェクト・シンポジウム」のプログラム詳細はこちらJST-NATシンポジウムをご覧ください。

20150825

 

 

また、平成27年10月にW. R. Shankle 医師およびJunko Hara氏のシャンクル・クリニックを訪問し、現地で 脳波測定・NAT解析の体験デモを実施、脳波専門の医師を交えて米国での社会実装の足掛かりとなるよう技術的なディスカッションを実施しました。

  Shankle office